【医局を辞めるべき?】10年目整形外科医が語る、医局のメリット・デメリットと「脱医局」の判断軸
はじめに
はじめまして。地方の整形外科医局所属後、都内クリニック勤務をしているmarutaと申します。
この記事では、「医局を辞めるべきかどうか」「残るメリットとデメリットは何か」といった点について、自身の経験や周囲の声を交えながらお伝えします。
- 医局に10年前後所属してきたけど、そろそろ悩んでいる
- 家庭との両立や働き方の自由も考えたい
- 手術・研究も大事だけど、ずっと医局に縛られるのも…
そんな方に向けて、リアルな情報とヒントになればと思います。
医局に所属するメリット
希少症例・重症例を経験できる
大学病院では、一般病院ではなかなか出会えないような希少疾患や多発外傷などの重症例を経験することができます。
私自身も、初期〜中堅時代にこうした症例に向き合った経験が、臨床的にも精神的にも大きな自信につながりました。
「怖い」けど「得られるものが大きい」、それが医局の症例経験です。
働き口に困らない
地方の医局は、一般病院への影響力が大きいため、配置・異動の手配が非常にスムーズです。
仮に勤務先が閉鎖しても、「じゃあ次はこっちで」となるので、“職に困るリスク”はほぼゼロ。
これは医局の大きな安心材料です。
勉強・研究に適した環境が整っている
研究に取り組むなら、医局(大学)以外の選択肢はほぼありません。
設備や研究テーマ、指導体制、学会発表の機会など、環境が整っています。
また、勉強面でも、先輩や後輩との症例検討、勉強会・抄読会・学会案内など、自動的に学びが流れ込んでくる環境に身を置けるのは非常にありがたいです。
医局に所属するデメリット
給与水準が低め
市中病院と比較すると、大学勤務の給与はかなり控えめです。
- 市中病院 → 土日休み+高年収(副業なしでも可)
- 大学病院 → 土日はバイト/当直必須でようやく生活が成り立つ
ライフステージが変わると「これではきつい…」と感じる医師も少なくありません。
学会・飲み会などの“やらされ感”業務
医局にいると、研究以外にも以下のような「やるべきこと」が多くあります:
- 学会発表・論文作成
- 抄読会・勉強会の主催
- 忘年会・納涼会・主幹学会の手伝い など
これらを「自分のため」と思えれば価値はありますが、
“義務感”が先に立つと非常にストレスになります。
人付き合いがしんどいタイプの方にとって、飲み会文化も負担に感じるかもしれません。
教授交代による環境の不安定さ
教授が代わるだけで、医局の人事や雰囲気が大きく変わることがあります。
選挙前はソワソワ感が漂い、誰が次期教授かという情報が飛び交い、時には退局者が増えることも。
私はまだ教授選の渦中にいた経験はありませんが、変動のストレスが大きい職場であることは間違いありません。
医局に向いている人・向いていない人
向いている人
- 臨床スキルを徹底的に磨きたい
- 将来的に大学人事・研究に関わりたい
- 「任せられる環境」が安心できる
- 指導・教育が好き/学会活動が苦でない
向いていない人
- 働き方に自由を求めたい
- 家族との時間を優先したい
- 人間関係のしがらみに疲れやすい
- 転勤や上司の意向に左右されるのが苦手
【体験談】私が「脱医局」を考えた理由
私が「脱医局」を考え始めたきっかけは、子どもの誕生と自分の働き方への違和感でした。
- 家族との時間が取れない
- 休日も当直や雑務で埋まる
- キャリアを“選んでいる”感覚がない
「このままでいいのか?」という疑問がじわじわと大きくなり、今では、自由な働き方に向けてステップを踏み始めています。
それでも医局と“ゆるくつながる”理由
完全に医局を切るのではなく、距離感をコントロールして関わるスタイルがあってもいいと思っています。
- 学術的な知識のアップデート
- 学会参加や研究協力
- 再就職先のセーフティネットとしての医局
現代のキャリアは「所属 or 非所属」の二択ではなく、グラデーションのある関係性があってもいいと感じています。
まとめ|医局を出るか残るかの判断基準
医局を辞めるかどうかは、キャリアの問題ではなく“人生の方向性”の問題です。
- 安定と手厚さを取るなら医局に残る選択もあり
- 自由や時間、裁量を重視するなら、脱医局の選択肢もあり
どちらにも良さがあり、「何を大切にしたいか」で選ぶのが正解です。
私自身は「もっと自由に、でも医学からは離れずにいたい」。
そんな気持ちから、一歩ずつ新しい道を歩き出しています。
おわりに
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
医局にいることで得られるもの、出ることで得られるもの。
両方を経験したからこそ言えるリアルな視点を、これからも発信していきます。
あなたのキャリアにとって、少しでもヒントになれば幸いです。
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